評価制度を変えても、職場に不満が渦巻く理由
今、会社の人事評価への見直しが注目されています。
人事評価に対する不満のない職場などないといっていいでしょう。
ある調査では8割以上が人事評価に満足していない、という結果が出ています。
従業員の不満を放置すると、社員たちのモチベーション低下・生産性低下・離職増加など企業の危機を生み出す可能性があります。
危機を未然に防ぎ、不満が生まれる理由と機能する制度構築のために必要なことを紹介します。
人事評価制度に注目が集まる理由
スタイルの変化
昨今、人事評価制度の見直しに注目が集まったきっかけは、テレワークの浸透と働き改革の推進です。
「働き方のスタイル」そのものが変わったことによって、従来の出社していれば、あるいは、長く勤務していれば一定の評価を受けられるという仕組みでは成り立たなくなってしまったのです。
オンライン全盛となった今、時代に合わない評価制度を今一度見直そうという意識が従業員・企業の両者から生まれています。
ビジネスの変化
グローバル競争が激化し、消費活動の中心もインターネットに変化しています。必然的にビジネスサイクルの短期化が加速して経営にもスピード感が求められるようになりました。意志決定の遅れが致命傷になるこの時代に、年に2回程度の評価では対応できないことも増えてきたのです。
バズによる突発的な流行、予測できない偶発的インシデントによる成果も増えると、従来の職能資格の有無や目標達成尺度では、適切な評価が難しくなったこともあげられます。
同時に社員の会社に対する意識も変化し、転職へのハードルも低くなりました。いかに会社へのエンゲージメントを高めるかは評価制度も大いに関わってくる要因となっているのです。
それでも人事評価制度に不満が出る理由
「正当」な人事評価をすることは至難の業です。
評価する側がどんなに公平な評価をしようと試みても、誰かは常に不満を持ちます。
もちろん「制度」自体に不備がある場合もありますが、いくら評価する基準や次元を細分化しても、
それぞれの具体的な評価をするのは人間です。そこに主観が入り込んでくるのです。
評価者の思い込み
「思い込み」だなんて失敬な!と思った方もいるかもしれません。
人事評価では慎重に客観的に行おうと苦心されている評価者ばかりだからです。
しかし忘れてならないことは、人間は知らずしらずのうちに気分に大きく左右されるということです。
「記憶の気分一致効果」は心理学者バウアーたちが提唱しました。
簡単にいうと、ポジティブな感情を持つ相手にはポジティブな評価を行いやすく、ネガティブな感情を持つ相手にはネガティブな評価を行いやすいというものです。ポジティブな感情を持つ相手のことを評価時に思いだそうとすると、良い情報ばかり思い出され評価に繋がってしまうのです。
ネガティブな点だけを指摘され、ネガティブな評価を受けた者からすれば、あの評価者はえこひいきをすると不満が出てきます。
自己の過大評価
人はだれでも自分のことは特別大事に感じ、自分を過大評価する傾向があります。
謙遜が美徳とされる日本人ですら、この心理は必ず働いています。
このように自分を過大評価する心理のことを「ポジティブ・イリュージョン」といいます。
例えば、自分と同僚同じように頑張った場面で、同じような評価を受けた場合、
「なぜ自分のあの頑張りは評価されないのか」と不満がわいてきます。
それは相手も同じです。
この不満が制度や評価者、ひいては組織への不満に繋がっていくのです。
職場の不満を解消するためにできること
企業としては、社員の不満の声に対応しようと必死に努力します。
不満の積み重なりで社員のモチベーション低下・離職増加・業績低迷を避けるのが命題だからです。
しかし、いくら緻密な人事評価制度を構築しても、人が人を評価することは避けて通れません。
そして人が評価をする時点で難点が出てくることは上に挙げた通りです。
ではどうすれば不満を解消できるのでしょうか。
心理的安全性の確立
良く思われていないのでは、信頼されていないのでは、という思いがあるうちはどんなに制度を確立しても心は離れるばかりです。
以前のコラムでも解説しましたが、心理的安全性の確立されたチームでは自然と業績が上がっていくという検証がされています。
お互いを信頼しあうためにも1on1ミーティング等の施策を取り入れ、どんな思いで業務に当たっているのか、社の方針にどんな思いがこめられているのかをしっかり共有する必要があります。お互いの理解の過程で、人事評価の目的や意味を共有できるのです。
自分理解・相手理解
評価者の思い込みにしろ自己の過大評価にしろ、この行き違いの理由は相手又は自分に対する認知の歪みが挙げられます。
無意識下で起きるこの認知の歪みを正すことは難しいでしょう。しかし、どんなことに価値を感じるか、どんなことで認められたいか、そういった自分と相手の理解をしっかりと深めることで、認知の歪みを小さくできます。
言葉足らずでも、相手が画面の向こう側にいたとしても、しっかりと明確に「相手を理解したい・自分も理解してもらいたい」とメッセージを伝えること。企業側・従業員側どちら側の工夫と努力が必要といえます。
自分理解・相手理解の近道とは
心の内面の問題はなかなか言語化できないと考えられてきましたが、科学と統計の進化で可能になってきています。
お互いの個性を認めあい、理解を深めるツールとして活用いただきたいのがロジック・ブレイン。
個性、性格を研究してきたロジックブレインだから、パーソナルインサイト情報をお互いに共有できます。
ビジネスの進め方、価値観、マネジメントから個人の能力などインサイトが一目瞭然のメソッドだから、一人ひとりの仕事の進め方も一目瞭然。
本来は時間がかかる信頼関係の構築ですが、このメソッドを活用することで、時間短縮が図れます。
また、ロジック・ブレインの組織分析でチームの課題や特徴が明確になり、パーソナルの能力を活かした組織、チームの活性化に役立ちます。