自走する社員の育成法
先日、あるマーケティングのセミナーに参加してきました。
そこでマーケティングの参考として、世界の著名人による講演会「TED」(Technology Entertainment Design)の中から「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」というテーマでサイモン・シネック氏の「WHYから始めよ!」というスピーチの一部を視聴しました。
そのスピーチは、人を動かす偉大な企業や人物というのは「ゴールデンサークル」というシンプルなパターンに基づいて行動しているとうことを語っていたわけですが、マネジメントテーマのスピーチでありながらマーケティングのセオリーにも通じると感じました。
ゴールデンサークルとは、Why(なぜそれをするのか)、How(どうやってそれをするのか)、What(何をするのか)という3重のサークルで示され、サイモン・シネック氏はこのゴールデンサークルを有名なコンピューター会社であるAppleなどを例に説明している動画です。
【WHAT:何をするのか】
企業では「何を創っているのか」「何を売っているのか」ということになります。
Appleを例にすると「iPad」「Mac」などを指します。
【HOW:どうやってそれをするのか】
「どのような製品をつくるのか」「どのように販売するのか」ということになります。
Appleの場合は「すべての製品を美しくシンプルにデザインし、誰でも使い易すいユーザーフレンドリーにする」という点にあたります。
【WHY:なぜそれをするのか】
「何のためにやるのか」「何を信じているのか」「その企業の存在する理由は何か」ということになります。
Appleの場合は「我々のすることが世界を変えるという信念」「違う考え方にかちがあるという信念」を元にすべての企業としての行動の素となります。
今回はこのサイモン・シネック氏のスピーチの内容からマネジメントに通じる話をご紹介したいと思います。
【Whyから始めよ!】に学ぶ
何かを始めるときの動機はいろいろあると思いますが、いつもうまく行くとは限りません。
特に他人と一緒に何かを成し遂げる時に、なんとなくウマが合う、合わないや得意なことをやれずに、不得意なことに終始するなど、上手く行けば良いのですが、いかないこともしばしば。
日頃の思考を振り返ると、何をするか(WHAT)に気をとられすぎて、(WHY)なぜやるかを見過ごしがちです。
ここでのキーワードは3つ。
- WHAT=何をするのか
- HOW=どのように
- WHY=なぜやるのか
マネジメントや社員育成においてもWHATに気を取られすぎて、表面的なやり方や方法論にとどまってしまうケースも多いのではないかと思います。
なぜ、多くの場合【WHAT=何をするのか】を重視してしまうのか?
それは時間がかからず、何らかの結果が出しやすいということだと考えます。
しかしながら、応用が効かず、パターンが異なれば対応できないなど、教えられた型どおりのことはできるけれど、それに工夫をして成果を向上させる知恵も出せない。
よく「言われたことはするけれど、それ以外のことはやらない」「自走する社員を育成したい」「能動的な行動を促す方法が知りたい」と嘆いている管理職の方の声を聞いています。
「いつまでたっても1から10まで指示しないといけない」とうのはスタッフたちの能力が低いのでしょうか?
もし、指導する立場の管理職や担当の人たちが、課題や業務の本質である「WHY」から教えれば、自分たちが心から欲しいと願っていた「自走する」スタッフへと成長し、頼もしい仲間となっていくのではないでしょうか。
企業や組織の「WHY」とは。
サイモン・シネック氏が言うにはこの「WHY」というコンセプトは仕事に対して全く情熱を持てなかったときに見いだしたそうです。
「あなたの好きなことをしたらいいよ」「貢献する喜びを感じるものを行うといいよ」など、多くの友人、知人のアドバイスは役に立たたず、理屈からすれば、どのアドバイスも理屈として同感できても、どれも実行することができなかったと。
このような経験から自分自身の人生において「WHY」が原動力になり続けていると言っています。
企業や組織でいうなら、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が「WHY」にあたるのかもしれません。
チームにおいてはリーダー自身がチームの「WHY」どのように語るのか、メンバーたちをいかに鼓舞し、成果を得るための行動を引き出せるのかが強いチームづくりの鍵となります。